希望のない世界から

消化試合を生きる

舞台版『華枕~願い巡りて~』の感想とか

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最後にゆっきーを生で見たのは、昨年11月の掛川になる。

その後、ESD3周年ライブの後、ゆっきーが卒業。

そこまでは発表通りだったが、まさかの赤と青の卒業&退所。そしてESDは活動休止。

それでもなお予想の範疇だったが、年が明けて黄色の退所にアーススターが声優事業から撤退。

ゆっきーは元マネージャーの福田氏を社長に立てて独立。それは予想しなかった。

これについては、ゆっきーが福田氏について行った可能性もあるが、ピンクとオレンジがついて行かなかったことや、ゆっきー側のメリットを考えると、ゆっきーがフリーで活動するにあたり、契約周りやお金周りをやってくれる人が欲しくて福田氏を雇ったのではないかと考えている。

まあ、それはただの憶測で、ゆっきーが福田氏を頼ったというストーリーの方が、個人的には萌える。真相は一介のファンには永遠にわからない。

 

そのゆっきーが、舞台に出るという。しかも主演で。

自分はミュージカルはそれなりに観たことがあるが、舞台は観たことがない。一度『ふたりのロッテ』をどこかで観たような記憶があるが、内容はまったく覚えていない。気のせいかもしれない。

今回の舞台は、世に言う2.5次元というやつだろうか。原作は知らないし、正直あまり興味もなかったが、一度触れてみるいい機会だしと、S席のチケットを押さえた。8,000円。なかなかの値段だ。

原作についてはなるべく調べないようにした。知ってから見た方が面白い可能性は高いし、むしろ知らずに見たら意味がわからないこともある。

それでも、先に知ってしまうと、得てしてそちらが「正統」になり、どうしてもそれと比較してしまうことになる。そして、大抵の場合は先に知った方の印象が良くなる。

だから、この『華枕』という作品は、ゆっきーの演じる舞台こそが、自分にとっての「正統」となるように、一切の情報をシャットアウトした。

 

さて、当日。

新幹線でビュンと飛び、川崎には11時前に到着。ひとまず場所を確認し、スタンド花の写真を撮る。

開場後、せっかくなのでパンフレットだけ買って開いてみるが、ストーリーも背景もさっぱりわからない。ただ出演する人の顔と名前と役がわかっただけ。

まあいい。完全にゼロで臨もう。

とりあえず、ゆっきーがやる役がアサガオ、オレンジはナデシコ青木志貴はシロツバキという情報だけインプットする。

後は誰一人わからないし、全員覚えられる気もしなかったので、まあ劇の中で把握できたらいいなと。

席は前から4列目のだいぶ右寄りだったから、S席としてはかなり悪い場所だったと思う。とはいえ、広い劇場ではないので、オペラグラスが無いと表情がわからないとか、そんな距離ではない。

公演時間は約130分。思ったより長い。とても長い。俺の腰と尻と膀胱はもつか心配になったが、長いのはいいことだ。たくさんゆっきーを見ていられるのだから、それはとても幸せなことだ。

……俺は一体、いつからこんなにゆっきーのファンになったのかよくわからないが、まあ生誕祭に遠征した時にはすでに結構はまっていたのだろう。

 

で、ゆっきーだが、とても可愛かった。

可愛かった。ひたすら可愛かった。

元気いっぱいだし、喋り方とかゆっきーそのままで、なんていうか、役を演じているというより、これはゆっきーだと思った。

もっとも、アフタートークで本人曰く、「アサガオは自分とは真逆」らしく、自覚がないのか、俺が見たことのあるあらゆるゆっきーは「中島由貴」というキャラクターだったのか。

確かに引きこもってゲームをしている部分はアサガオとは正反対だが、本質的な明るさはまさにゆっきーの真骨頂だと思う。

舞台だが、良かった。面白かったし、ゆっきー可愛いし、笑えるシーンもあり、感動するシーンもあり、盛りだくさんだった。

ふわふわした幻想的な雰囲気も素敵だったし、原作をまったく知らなくてもちゃんと話がわかる脚本も良かった。

もちろん、よくわからないところも多々あったが、後で調べたところ、やっぱりよくわからなかった。たぶん、よくわからなくて正解なのだと思う。空気も存在も時間も、何もかも曖昧に漂っている感じが、あの舞台の一番の見所なのだろう。

 

内容について少々。

アフタートークで、ひたすら百合の話をしていた。どのカップリングが良いか、好きか。

この物語の見所はやはり百合だという前提で、キャストさんは話をしていたし、恐らくお客さんの大半もそのように受け取っていた。

実際に、Twitterで感想を追いかけても、百合っぽい内容が散見される。この話は男が出て来ない、百合の物語であると。

いやいやいやいや!

ここは遊郭で、お客様と湯浴みや添い寝をするお仕事をして、実際にそのお客様は全編に渡って登場していた。アサガオにもお客様が来ているという台詞もあった。単にキャストに男がいなかっただけで、男の影はずっとちらついていた。

後で知ったのだが、この作品、元々は18禁抱き枕が発端だという。調べたら普通にアサガオのエッチなイラストが出てきて、不思議な気分になった。健全作品の二次創作でエロい絵を見ることは多々あるが、健全作品と思って触れたものの公式でおっぱいが見られるとは。エロゲーからの移植作品を、元作品を知らずにプレイしたような感じだ。

要するにこの作品は、あくまで「男の癒し」という根底があり、そこから目を背けてはいけないのだと思う。

少女たちは会いに来る男たちの相手をしている。にも関わらず、それを感じさせないふわふわした空気こそが、この作品の一番の魅力なのだ。

もっとも、作品に最も近いキャストさんたちが百合だと言っているのだから、自分の解釈は恐らく作品の趣旨とはかけ離れているのだろう。

個人的には、この作品のその本質に触れたのがナデシコであり、しかしそれは禁忌であるがゆえに、他の華枕たちはナデシコを遠ざけたと考えている。

この話はこの先、ずっとそれを避けて百合っぽい空気で進んでいくのか、それともナデシコが言ったように、アサガオにもいつかわかる日が来て、その問題と直面するのか。

きっと前者なのだろうが、自分は舞台を見て後者のテーマを感じた。ちょっと原作も追ってみたいと思った。

 

ほとんど興味のない状態で行ったが、とても楽しかった。舞台もまた見てみたいと思った。

そして、やはりゆっきーは可愛かった。可愛かった。

次は4月30日にファンイベントがあるが、さすがに行けない。

卒業ライブにも、成人式イベントにも行けなかった。

遠征はツライ。今回、舞台の8,000円に、パンフレット代、ホテル代、食事代を全部足しても、新幹線の往復料金の方が高かった。

たくさんゆっきーに会いたい。

けれど、安月給の地方民は、身分相応の応援で我慢するべきだ。

遠征費をグッズや握手会に使えたらどんなにいいか。本当に残念だが、必死に追いかけてJRに大金を落とすのも何か違う気がするので、遠い場所から声援を送ることにする。