希望のない世界から

消化試合を生きる

努力が報われないと確実に何かが減る。それでも……

随分昔、気に入った子がいたら電車の中でも声をかけるという人がいた。

何故そんなことができるのか感心と驚きをもって尋ねたら、「ダメだったとしても、何もしなかった状態と同じ。つまりゼロ。だったら声をかけた方が得」という趣旨のことを言った。

もう10年以上も前、会社の研修で一度会っただけの人間の言葉だか、妙に鮮烈で今でも克明に覚えている。

それを聞いて自分もナンパ師になったかというと、もちろんそんなことはない。

そんな勇気が沸くはずもないし、そもそも当時は色々なトラウマがあって女性に興味がなかった。

最近、よく街コンやオフ会に参加している。

もちろん、気の合う女の子と出会えたらいいなぁと思ってのことだが、収穫はまったくない。

収穫がなくてもゼロ、まあせいぜい参加費や時間をロスするくらいかというと、まったくそんなことはない。

何かを期待して行動した結果、それが達成されないとがっかりする。精神的に疲弊する。それが繰り返されると、自信が喪失する。

「やりはしないけど、やればできるんだぜ!」みたいな格好悪い自信も、精神衛生上必要なのかもしれない。

現実を知って自信を失うと、活力もなくなり、無気力になり、籠りがちになっていく。

じゃあ、動かない方が良かったのか?

現状、つまりゼロの状態に満足しているなら、わざわざマイナスになるリスクを負う必要はない。

しかし、現状、ゼロの状態に満足していないなら、結局マイナスになるリスクを負ってでも、動かなければプラスにならない。

動かなければプラスにならない。