希望のない世界から

消化試合を生きる

コスプレ撮影の話

コスプレ撮影で、特定のレイヤーさんの専属撮影をするようになってから2年が経った。

専属撮影とは、コスサミやストフェスみたいなイベントに行って、不特定のレイヤーさんを撮影する野良とは違い、特定のレイヤーさんと事前に打ち合わせをした上で、スタジオやロケ、イベントなどでそのレイヤーさんだけを撮影することを指す。個人の場合も合わせの場合もあるが、自分は男装撮影が多いため、個人より合わせの方が多い。

 

どうやって専属撮影をするかというと、最初はイベントの野良撮影で撮らせていただき、名刺を交換したり、アーカイブツイッターで繋がった後、「良かったら今度撮影どうですか?」と声をかける。これを自分は「営業活動」と呼んでいる。

あるいは、アーカイブツイッターでカメラマンを募集している際に手を上げる。男装撮影の場合、カメラマンに困っているケースは依然としてあり、専属撮影しやすい。自分から手を上げるので、これも広義の営業活動に分類している。

 

後は、レイヤーさんから直接依頼されるケース。

野良で知り合い、営業活動で専属撮影を行い、腕や人間性が認められれば、レイヤーさんから依頼していただけるようになる。

ただし、ある程度コスプレ歴の長いレイヤーさんは、すでに信頼できるカメラマンが何人もいるので、わざわざ新参のカメラマンに声をかけるようなことはしない。

よほどのテクニックがあるか、歳が近くて人当たりが良くて一緒にいて楽しいか、レイヤーさんが駆け出しでまだカメラマンの知り合いがほとんどいないか。そのいずれかでなければ難しいだろう。あるいは男装ならワンチャンあり、自分が男装撮影ばかりなのはそのためだ。

 

さて、そんな専属撮影を始めて、最初の頃は営業活動をしていた。ここでは手を上げる方ではなく、「今度撮影しませんか?」と声をかけることである。

そのスタイルで、イベントで列を作れるくらいの可愛いレイヤーさん(歴は浅い)と専属撮影をできたりもしたので、地道に営業活動を続ければ、その分のリターンはあると思う。

ただ、そういう営業活動をある時からしなくなった。

最大の理由(原因)は、自分から声をかけた撮影で大失敗したこと。レイヤーさんのテンションも低く、撮った写真にも満足してもらえなかった。そのことで、「撮影はまず先にレイヤーさんのやりたい気持ちがあるべき」と考えるようになった。

そもそもカメラマンがいなくてもコスプレはできるが、レイヤーさんがいなければコスプレ撮影はできないのである。順序も、先にレイヤーさんのコスプレする予定があるべきなのだ。(中には、「予定がもらえるとありがたいので、声をかけてほしい」というレイヤーさんもいるが、多くはない)

 

受け身のスタンスに変えてからしばらくは、撮影が続いていた。

男装の合わせが多いので、Aさんから声がかかるとBさんと知り合い、今度はBさんから声がかかってCさんと知り合うというふうに、輪が広がっていく。

そのおかげで、ここ半年ほど、まったく自分から営業活動をしなくても撮影が続いていた。もっとも、刀剣乱舞やあんスタばかりだが、知り合いのレイヤーさんとの撮影は楽しいし、声をかけてくれるくらいなので、写真も気に入っていただける。

そんな依頼ベースの撮影機会(撮影予定)が、とうとう先日の撮影をもって途切れた。8月以降、1件の予定もない。

 

先に、男装撮影なら依頼をもらえると書き、実際そうして撮影が続いていたが、男装レイヤーさんとてすでに信頼できるカメラマンは多いし、最近は女性のカメラマンも増えている。Aさんと知り合いでも、合わせの相手のBさんがカメラマンを連れてくるケースも多いし、そうそう声がかかるものではない。

何度か撮影したレイヤーさんがいて、たまたま他の用事で行けなかったことが2回あったのだが、その2回とも三脚撮影をしたらしい。結局自分は最後なのだ。プロみたいな写真が撮れるカメラマンも多い世界。機材もテクニックも並の自分は、その程度が限界である。

結果として、撮影の予定がなくなってしまった。

 

今、この先どうしたものかと考えている。

このまま受け身のスタンスを続ければ、自動的に引退ということになるだろう。ごく稀に撮影予定がもらえるかもしれないが、技術の維持も難しくなるし、予定が先細りしていくのは、今こうして撮影が途切れたことからも明白。

といって、また営業活動を始めるのもなぁと思う。

実はSAKAEコスプレフェスティバルの後、久しぶりに営業活動したのだが、成果がなかった。予定が入れられなかったどころか、返事すらもらえないケースも多く、心が萎れた。

結局恋愛と同じく、相手が圧倒的優位にあってこちらは選ばれる立場という状況が、ものすごく苦手なのかもしれない。余計なプライドが強すぎる。

 

今週末はコスサミがある。

時間をかけて写真を送って、次の撮影に繋がらないという事態はもううんざりではあるが、さてどうしたものか。