希望のない世界から

消化試合を生きる

無料本のお話と『ひとりぼっちの地球侵略』の感想

先日イタリアに行った際、「本はかさばるし、何かテキトーな電子書籍スマホに入れていくか」という思考に行き着いた。

最初は『レ・ミゼラブル』とか『源氏物語』とかにしようと思ったのだが、あまり頭を使いたくなかったので、マンガにしようと考えた。

探していたら、『ひとりぼっちの地球侵略』というマンガが、1巻から3巻まで、ちょうど期間限定で無料になっていた。

絵柄も好みだったし、評価も上々なのでそれにしてみようと、3巻までダウンロードして旅行に行った。

 

その1巻を行きの飛行機の中で読んだのだが、これがなかなかどうして面白いじゃないか。

初日のバス移動が長かったので、バスの中で2巻も3巻も読んでしまった。

続きが猛烈に気になり、その夜ホテルでWi-Fiを使ってインターネットに接続し、残りの巻を購入した。

1巻から3巻は期限が切れてしまってもう読めないので、こちらもそろそろ買おうかなと思っている。

 

相変わらず電子書籍は高いなぁとは思うが、473円が41円の割引の上、86ptつくので、実質346円。

パラパラめくれないとか、iPhoneの画面では小さくて見にくいとか、デメリットも多いが、電子書籍ならではのメリットもあるし、まあ妥当な価格かな。

 

それにしても、こうして見ると期間限定で無料というのは有効な手段だと思う。

期間限定じゃなくても、最初の巻だけ無料という本もちらほらあるが、それもとても効果的だ。

実際、このマンガも、無料じゃなければきっと読んでいなかった。そもそもマンガを読む習慣がほとんどなく、表紙買いもしない。

まずとにかく見てもらうのが大切で、中身が良ければ続きは自然と買われるもの。

これはアニメなどでも同様で、最初の1話だけ無料配信しているケースはよくある。

 

無料でその作品に触れる機会についてもう少し掘り下げたいが、ちょっとよくない話題になりそうなのでここまでにしよう。

 

『ひとりぼっちの地球侵略』だが、Amazonのレビューでもちらほらある通り、4巻以降は最初の頃の勢いがなくなってきたかなと思う。

そもそも大鳥先輩はなんでもない平和な日常を望んでおり、オルベリオがなくなったことを知った今となっては、ますます能動的に行動する理由がなくなってしまった。

イベントが受け身でしか発生しないのだから、勢いがなくなってしまうのも無理はない。

このマンガは往年のセカイ系の雰囲気を感じる。ボクとキミの小さな世界が、地球や宇宙という規模の出来事に繋がっている。

けれど、描きたいのは(大鳥先輩の望みは)、あくまでボクとキミの小さな世界なのだろう。

 

現在10巻まで刊行されており、凪(ゴスの王弟)との全面対決の手前で止まっている。

これも受動的に発生したイベントだが(岬一は凪と戦いたくない)、この戦いをもって凪やマーヤの問題にカタがつき、大鳥先輩と岬一の関係にもそれなりの結論が出て終わるのかなと思っている。

イベントが受動的に発生する以上、終わらせるには「イベントが絶対に発生しない状態」を作る必要がある。港を完全に閉じるのが現実的な終わり方だと思うが、今起きているイベントは、そもそも港の内側(地球上)で発生していること。

まだ少し続くかもしれないな。

面白いのだが、主人公が外的要因に振り回され続ける作品はだるくなるので、その辺は意識した展開になることを願う。