『響け!ユーフォニアム』についてと、秀一が嫌いな理由
これの続き。
アニメの11話があまりにも良かったので、逆にもやもやした。
どうにも気持ちが悪いので、久々にユーフォの話題を書いてみる。
8話はもちろん、今回の11話も、久美子と麗奈の百合妄想が大変捗る内容。
妄想と言うよりむしろ、はっきりそのように描かれている。
トランペットの3人のごたごたも実によく描いてくれた。
優子が香織にソロを吹いてほしい理由は、実は原作1巻には出て来ないのだが、それも描いてくれた。
だからこそ余計に、麗奈の葛藤もわかりやすくなって、あの何とも言えないやるせなさが伝わる。
原作1巻や2巻を読んだ頃からずっと、この作品は吹奏楽部のごたごたと、久美子と麗奈の友情、そしてちょっぴり久美子の成長の物語だと書いている。
特に曲解したわけでもなく、原作1巻の内容をやや誇張して描けば、自然とアニメの内容になる。
アニメが無理やり百合方向に持って行こうとしているわけではない。
原作1巻はそういう内容なのだ。
おかげさまで『日常の隣で』という久美子×麗奈SSは、閲覧数3,800、総合点1,170点という、見たこともない数字になってきた。
ただ久美子と麗奈がキスするだけの小説なのだが、これも別に無理やりひねったわけではない。
アニメ同様、原作1巻の内容を素直に解釈して、極端に描いただけ。
アニメの展開に違和感はない。
自分が原作1巻を読んで、感じたような内容をやってくれている。
だから本来、すごく楽しいはずなのに、最終的には久美子と秀一がくっつくという呪いによって、もやもやしてしょうがない。
アニメでは秀一の出番が少ないが、あれでも多い方。原作では空気。
空気にも関わらず、1巻のラストでは、二人で手を握り合っている。しかも指を複雑に絡め合って。
2巻でもほとんど空気なのに、最終的には二人は恋人同士になりますとか、なんなんだ?
わけがわからないよ。
1巻のラストの手を握るシーン、アニメでやるのだろうか。
11話で、久美子の方からも麗奈に愛の告白だとか言っておきながら、秀一の温もりで緊張をほぐすのだろうか。
そういう展開にはしてほしくない自分と、いっそ原作の通り、百合展開はミスリードで実は普通の男女の恋愛物でした!って、アニメしか知らない人たちにも知らしめてほしい自分がいる。
前にも書いたが、久美子が秀一と付き合うのは、久美子が秀一と付き合いたかったのではなく、原作者が久美子と秀一を付き合わせたかっただけだと思っている。
アニメは原作の通り展開し、11話の香織先輩の公開処刑よろしく、視聴者に何が自然かの判断を委ねてみてほしい。
原作者のやりたいことは知らないが、黄前久美子のそれまでのすべての言動を加味した上で、秀一に対する想いや行動に不自然な点は無いか。
アニメしか知らない人たちがどう感じるか。意外とすんなり受け入れられるのか。あるいは自分はマジョリティーなのか。
それを知りたい。
ここまではもう何度も書いてきた内容。
今回はここから少し、何がそこまで久美子と秀一がくっつくのが嫌なのかを書いてみたい。
男女の恋愛が嫌なわけではない。
SAOでキリトとシノンのSSも書いているし、確かに百合は大好きだが、だからと言って男女の恋愛をすべて否定するものではない。
久美子の相手は絶対に麗奈で、それ以外は認めないという思いはあるが、それは原作1巻を素直に解釈した結果であり、アニメの展開を見てもわかる通り、歪んだ解釈によるものではないと強く言いたい。
だがそれも本質ではない。
秀一がこの物語の根幹に何も絡まない──この物語で描かれる様々な問題に対して、まったく何もしないくせに、主人公だけ持って行くというのが許せないのだ。
例えばトランペットのソロの問題。例えば久美子がAで夏紀がBだった時に久美子が揺れていた時。例えばみぞれや希美の一連の事件。こういったことに対して、秀一は何もしていない。
3巻は結局途中で読むのをやめてしまったが、果たしてあすかの問題を解決するために、秀一はどれくらい動いたのだろう。
そういった様々なことを、最初から主人公の久美子と一緒に取り組んで、なんらかの役割を果たしていれば、別にそこに愛情が芽生えることに違和感はない。
氷菓でえると奉太郎が恋仲になっても、なんとも思わないし、むしろ歓迎する。それは二人がそういう時間を過ごしていたから。
だが秀一、お前は何もしていないだろう。
世の中には要領よく生きている人がいる。
会社でも、大して何もしていなくても高い評価をもらっている人がいる。
本人の能力に関わらず、恵まれている人がいる。
そんなある種の理不尽なものは、現実だけで十分で、創作物の中でまで見たくない。
『響け!ユーフォニアム』の中で描かれている様々な問題や事件に対して何もしないくせに、物語の主人公だけ持って行くとか、新時代のNTRか?
そんな小説、見たことがない。脳が激しい拒否反応を示している。
秀一が嫌いな理由を分析したら、こういうことのような気がしたので、ちょっと書いてみた。